前回の「抗コリン薬を考える」の最後に、高齢者の認知機能に影響を及ぼす抗コリン作用を持つ薬物については、文献によって食い違いがあるので更に調査の必要があることを述べた。そこで色々と調べた結果、以下の論文を見つけたので紹介したい。
Duran C.E. et al. Systematic review of anticholinergic risk scales in older adults. Eur J Clin Pharmacol. 2013; 69: 1485-1496.
高齢者への不適切な抗コリン薬負荷はしばしば取り上げられているが、その負荷を評価するための各種スケール間には、対象の抗コリン薬や、その作用の強さについて食い違いがみられる。著者らは、(1)抗コリン薬をリストしている、(2)それらの抗コリン作用をグレード分類している、(3)臨床的あるいは実験的な確証があること、の3条件を満たす論文を系統的に調査した。高齢者を対象としない論文は除外した。7論文が選択され、これらの論文でリストされている抗コリン薬の作用の強さ(0[non-anticholinergic]~3[high potency])を比較した。私が2月、6月に紹介したAncelin(2006)の論文は7論文に含まれる。Gray(2015)の論文は2015年なので当然含まれていないが、そもそも抗コリン薬をグレード分類していないので、Duranの基準には合わない。
7論文の比較調査によりグレード3が複数ある薬物、3が1論文でも2が1論文以上ある薬物はhigh potency抗コリン薬とした。3が1論文しかなく、グレード0の論文がある薬物や、他に評価のない薬物はMartindale®により判断した。
結果、47成分がhigh potencyの抗コリン薬と判断された。このうち、我が国で販売されている医療用医薬品は28種、一般用医薬品3種を以下の表にまとめた。表中、薬物名の背景がグレーのセルは、high potencyの判断根拠がMartindale®によることを示す。
因みに6月のブログで抗コリン作用に疑問があるとしたフロセミドは、Ancelin(2006)以外の論文ではグレード1か0と著しい不一致があり、Martindale®でも抗コリン作用は確認されなかった。アルプラゾラム、アモキサピン、ジゴキシン、コルヒチンも同様の結論で、今回の表からは除外された。
この論文により、様々な報告における薬物の抗コリン作用の評価の食い違いの問題は解決したとしても、薬剤師が医療の現場でこれを生かそうとするには未だ問題が残る。それは、この表は抗コリン作用が強いと判断した薬物のうち、我が国で販売されているものをリストしたものであって、主に我が国でしか流通していない薬物は評価の対象にされていない可能性があるので、同種同効薬についてはこのリストに無いことが抗コリン薬作用が弱い、あるいは無いことを示すものではないことである。つまりこの表だけでは代替薬の提案ができない。
処方医への情報提供の根拠となる添付文書における記載状況はどうか。医療用医薬品について、当該薬物の抗コリン作用の情報が添付文書からどの程度得られるのかを調べた。表中黄色のセルは、禁忌や慎重投与の欄に抗コリン作用のために緑内障や、尿路閉塞性などの患者への投与が制限される記述があるものである。青色のセルは、相互作用の欄に相互に抗コリン作用を増強するなどの記述があって、間接的に抗コリン作用のあることが認識できるものである。一方、ピンク色のセルは、添付文書に抗コリン作用に関する記述は全く見当たらない。つまり青色セル、ピンク色セルの薬物は疑義紹介をかけるには添付文書上の根拠が弱いか、根拠の手掛かりがないことになる。
今回の表を基に抗コリン作用の観点から高齢者が避けるべき薬物を、我が国で販売されている同種同効薬ごとに情報を吟味する必要があるだろう。
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竹延 美恵子 (火曜日, 05 6月 2018 09:28)
母が足の痛み止めにカロナール300を3錠毎日飲んでいます。
この薬に抗コリン作用のある成分は含まれるのでしょうか?認知症になる危険度は?
今泉兼親 (日曜日, 14 7月 2019 06:16)
アキネトンを5錠飲んでいますが、
認知症にかかる率はかなりたかいでしょうか
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